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BRAND SUMMIT

2021年企業のマーケターたちは何に取り組んでいくのか?

BY Comexposium Japan 中澤圭介

2020年は新型コロナウイルスの影響で世の中が大きく変わりました。安全のために人々の移動が制限され、三密を回避せざるをえない状況となることで、多くのビジネス機会が失われました。我々のカンファレンスもad:tech tokyoをオンラインとオフラインのハイブリッドとするなど開催方式を大きく変化させました。ここでは、毎年イベント参加の広告主企業に行っているアンケート、そして2021年1月~3月にかけて100以上のマーケターとミーティングを経て得た「2021年のマーケティング傾向」を5つ紹介します。

1.家庭内時間の充実により注力する生活者への対応

コロナの影響で接触を避け、衛生面が規制されたことで、「試食・試飲」や商品のタッチ&トライの機会や、ブランドのファンやアンバサダーとのリアルなイベントも大きく制限されました。その結果、ブランド体験の場が「家庭内」に大きくシフトしています。各社は家庭内時間の過ごし方の把握とそこにどう自然に入り込み、デジタルだけでなくリアルも含めてよい体験を届けることができるかを、以前にも増して考えるようになっています。こうした背景もあり、「広告主アンケート」では「よりよい顧客体験を届けるため」のDX推進が上位となりました。
*アンケートの詳細に関するリリース

2.オウンドメディア&コンテンツマーケティングの強化

小売店を通じた販売が中心のメーカーや非常事態宣言で店舗がオープンできなかった企業は、顧客と直接つながっていないことを痛感。そこで、今後に向けた情報をしっかり取得するためにもオウンドメディアの充実が急務となりました。同時に、コンテンツ作成体制の見直し、既存コンテンツを動画に置き換えるなども進んだ。一方で外部パブリッシャーとの連携や分析に基づくKPIの設定、強化したオウンドへの導線づくりなどの課題も残っています。

3.基礎事項の見直し、足元固めをしっかりと

コロナ禍で売上目標の達成が困難になったり、衛生関連商品のように「売りたくても売れない」状況になった企業は、基礎部分のメンテナンスを実施。SEOの強化、顧客との関係性を途切れさせない丁寧な情報発信、双方向でのやり取りなど、数値に追われがちな時につい後回しにされがちな時だからこそ、状況が改善した時の施策が底上げされることを見極めて取り組んでいます。

4.新規事業などへリソースが振り向けられるように。

これまでも「新規事業の推進」「スタートアップ企業との協業」という流れがありましたが、コロナ禍によって、特定事業の売上偏重を一刻も早く改善することが大きな命題となりました。例えば、小売・流通に対して遠慮があったメーカーも「もはやそんなことは言っていられない」と、自社ECの強化やD2Cブランドの立ち上げによりリソースを振り向けるようになってきました。また、新規事業とまではいかなくとも、これまで進みにくかった新たな取り組みが一気に進めやすくなったという声も多くありました。

5.広がるマーケターの活躍領域

弊社の広告主アンケートにおいてこの1年で一気にスコアが上昇したのが、SDG’sやパーパスブランディングの項目です。生活者が企業やブランドの存在意義についてより深く情報を得るようになり、企業経営においてこれらの重要度がさらに高まっています。マーケティングコミュニケーション部門の責任者がSDG’s関連部門に異動になる、この分野のコミュニケーションにおいてIR、経営企画室などと連携することが増えた、という話もたくさん聞きました。いずれも、これまでマーケターが関わる領域と言われていましたが、今回のことでさらに認知され、実際にこの領域で活動するようになってきました。

新型コロナウイルスによって、多くの点でマイナスの影響が出たことはもちろん大きいですが、上に記したように「新規事業立ち上げの本格化、顧客を起点とした組織のデジタル化など、コロナ禍だからこそ、経営層理解のもとで大きく進んだ」という良い面があることも事実です。
2021年は急激に変化する生活者のマインド・行動に対して、各社が取り組んできたこと、そしてこれから注力しようとしていることを業種・業界を超えてシェアすることで、次の成長につながるヒントが見つかると思います。